退行によるチル・アウト

 すっかり忘れていたのだった。ブログを持っていたことも、そこに記された4ヶ月間も。嫉妬、怒り、堕落、狂気、暴力、憎悪、憔悴・・・・・・その中に愛が含まれていたのかは、もはや判然としない。未熟な自分の異常な執着や依存を、愛に昇華したいだけなのかもしれない。とにかくそこにあったのはただただ愚かしく生々しい光景で、わたしはまたいつもの通り、都合の悪いことは忘れていた。
 すこし揺れているように感じる。地震の前兆かもしれない。しばらくじっと感覚を澄まして、にわかに気づく。自分の身体だけが揺れていること。動悸を地響きのように感じていたこと。わたしは不具者となり、事実からの逃避をはじめる。平衡の不具者、聴覚の不具者、視覚の不具者、摂食の不具者、愛の不具者・・・・・・、そうやって自分に都合のいい世界へ退行してゆく。健忘と倒錯と虚偽にまみれた、生ぬるい underwater へ。